MA(マーケティングオートメーション)を導入する企業は増えていますが、導入したツールを商談や売上につなげられている企業はどの程度あるのでしょうか。
株式会社Sells upは、BtoB企業でマーケティングまたは営業に関与する480名を対象に、MAの活用実態を調査しました。本記事では、その結果の全設問・全グラフを公開します。
調査からは、MAを導入していても、商談・売上に十分貢献できている企業は導入企業の約3割にとどまることがわかりました。そして、成果が出ている企業と出ていない企業の間には、ツールそのものよりも、マーケティングと営業の連携やROIの測定といった運用面で明確な差が見られました。
調査主体:株式会社Sells up/調査ツール:Surveroid
調査の概要と方法
本調査は、BtoB企業におけるMAの活用実態を明らかにするために実施しました。毎年6月の実施を予定している定点調査の、設計を検証する第0回にあたります。
調査概要は次のとおりです。
- 調査名称:BtoB企業のMA活用実態調査(第0回)
- 調査主体:株式会社Sells up
- 調査ツール:Surveroid
- 調査期間:スクリーニング2026年9月8〜9日、本調査2026年9月9〜11日
- 調査対象:BtoB(法人向け、または法人・個人の両方)企業で、マーケティングまたは営業業務に主体的に関与する担当者・責任者・経営者
- 有効回答数:480名(うち従業員10名以上の企業に所属する回答者320名)
回答者の属性は、男性が91.7%、40代以上が89.2%を占めます。職種別では、営業・インサイドセールス担当が39.6%、経営者・役員が27.1%、営業責任者・管理職が20.4%、マーケティング責任者・管理職が6.7%、マーケティング担当が2.7%です。
| 回答者の従業員規模 | 割合 |
|---|---|
| 10名未満 | 33.3% |
| 10〜49名 | 16.2% |
| 50〜299名 | 18.3% |
| 300〜999名 | 10.2% |
| 1,000名以上 | 21.9% |
| 回答者の業種 | 割合 |
|---|---|
| 卸売・商社 | 22.5% |
| 製造業 | 17.5% |
| その他サービス業 | 14.4% |
| 建設・不動産 | 13.1% |
| 金融・保険 | 9.0% |
| 上記以外 | 8.5% |
| IT・ソフトウェア | 6.9% |
| 広告・マーケティング支援 | 3.8% |
| 医療・福祉 | 2.3% |
| 人材・教育 | 2.1% |
全体 n=480。調査主体:株式会社Sells up/調査ツール:Surveroid
なお、従業員10名未満の企業に所属する回答者が全体の33.3%を占めるため、本記事では従業員10名以上を主な母集団として扱い、必要に応じて全体の数値を併記します。
また本記事では、「導入して積極的に活用している」「導入しているが十分に活用できていない」の合計を導入率とします。過去に導入し現在は使っていない企業は含みません。
商談・売上に貢献している企業の共通点
MAを導入して商談・売上に貢献できている企業(以下、貢献群)と、導入しても十分に活用できていない企業(以下、非貢献群)を比較すると、いくつかの項目で大きな差が見られました。
最も差が大きかったのは、マーケティングと営業の連携です。貢献群では約8割がスムーズに連携できていると回答した一方、非貢献群では1割未満にとどまりました。
ROIの測定でも差が見られます。ROIを定量的に測定できている企業は、貢献群で5割超、非貢献群で2割弱でした。費用対効果が「十分に見合っている」と回答した企業も、貢献群で4割超、非貢献群では数%と、大きな開きがあります。
一方で、営業への通知・トスアップを運用している割合は、貢献群・非貢献群ともに6割前後で、ほとんど差がありませんでした。トスアップの仕組みがあるかどうかよりも、そのリードを営業がどう扱い、成果をどう測るかという運用面が、成果を分けている可能性がうかがえます。
なお、ここで示した差は、あくまで貢献群と非貢献群の間に見られた相関です。これらの取り組みを行えば必ず成果が上がる、という因果関係を示すものではありません。

| 項目 | 貢献群 | 非貢献群 |
|---|---|---|
| マーケと営業がスムーズに連携 | 78.6% | 6.5% |
| ROIを定量的に測定 | 54.8% | 17.4% |
| 費用対効果が「十分に見合う」 | 42.9% | 2.2% |
| リードスコアリングを運用 | 40.5% | 23.9% |
| CRM・SFA連携 | 33.3% | 18.5% |
| 営業への通知・トスアップ | 61.9% | 60.9% |
貢献群 n=42/非貢献群 n=92。調査主体:株式会社Sells up/調査ツール:Surveroid
MA導入率は全体で約3割、企業規模で大きく異なる
MAの導入率は、全体で約3割、従業員10名以上の企業では約4割弱でした。
企業規模別に見ると、導入率は規模が大きくなるほど高くなります。従業員10名未満では1割弱にとどまる一方、1,000名以上では半数を超えます。

| 従業員規模 | 導入率 |
|---|---|
| 10名未満 | 8.8% |
| 10〜49名 | 15.4% |
| 50〜299名 | 34.1% |
| 300〜999名 | 49.0% |
| 1,000名以上 | 51.4% |
全体 n=480。調査主体:株式会社Sells up/調査ツール:Surveroid
導入企業の活用状況とつまずき
MAを導入している企業のうち、フル活用できており商談・売上に貢献していると回答した企業は約3割でした。一部の機能は活用できているが約6割、ほとんど活用できていないが約1割です。多くの企業が、導入はしたものの一部の機能の利用にとどまっている状況がうかがえます。
導入企業が運用できている機能では、営業への通知・トスアップ(6割前後)とメール配信・ナーチャリング(5割半ば)が上位です。一方、リードスコアリング(3割弱)やCRM・SFA連携(2割強)は、活用している企業が3割前後にとどまります。
| 運用できている機能(複数回答) | 割合 |
|---|---|
| 営業への通知・トスアップ | 61.2% |
| メール配信・ナーチャリング | 56.0% |
| 効果測定・レポート | 37.3% |
| AI・予測機能 | 33.6% |
| フォーム・LP作成 | 32.1% |
| リードスコアリング | 29.1% |
| セグメント配信 | 25.4% |
| CRM・SFA連携 | 23.1% |
| ほぼ使えていない | 2.2% |
導入者 n=134。調査主体:株式会社Sells up/調査ツール:Surveroid
導入企業が感じているつまずきは、社内にノウハウがないが約4割で最多でした。次いで、営業との連携が取れていない、費用対効果が見えないが、それぞれ3割台で続きます。

| つまずき | 割合 |
|---|---|
| 社内にノウハウがない | 39.6% |
| 営業との連携が取れていない | 34.3% |
| 費用対効果が見えない | 33.6% |
| 効果測定の方法がわからない | 24.6% |
| 運用工数が足りない | 22.4% |
導入者 n=134。調査主体:株式会社Sells up/調査ツール:Surveroid
MAの費用対効果とROI測定の実態
MAにかけている年間費用は、100万円未満と1,000万円以上がそれぞれ2割弱で、費用の幅は企業によって大きく異なります。「わからない」と回答した企業も約3割ありますが、その多くは従業員1,000名以上の企業に所属する営業・インサイドセールス担当者で、経営者・役員の回答者では「わからない」は見られませんでした。大企業では、担当者がツールの費用を把握していないことは珍しくなく、費用の把握そのものよりも、担当者が自分の運用と投資対効果を結びつけて考えられる状態にあるかが論点になります。
| MAにかけている年間費用(ライセンス・運用工数含む概算) | 割合 |
|---|---|
| 100万円未満 | 16.4% |
| 100〜300万円未満 | 16.4% |
| 300〜500万円未満 | 11.2% |
| 500〜1,000万円未満 | 9.7% |
| 1,000万円以上 | 17.9% |
| わからない | 28.4% |
費用対効果については、「十分に見合っている」「ある程度見合っている」を合わせて約4割です。一方で「どちらとも言えない」が約4割半ばを占め、効果を判断できていない企業が最も多い結果となりました。
ROIの測定では、定量的に測定できている企業が約3割、定性的にのみ評価しているが約4割、測定できていないが約3割です。約7割の企業が、MAの投資対効果を数値では捉えられていない状況がうかがえます。

| 費用対効果 | 割合 |
|---|---|
| 十分に見合っている | 14.9% |
| ある程度見合っている | 26.1% |
| どちらとも言えない | 45.5% |
| あまり見合っていない | 9.7% |
| 全く見合っていない | 3.7% |
| ROI測定 | 割合 |
|---|---|
| 定量的に測定できている | 29.1% |
| 定性的にのみ評価している | 44.0% |
| 測定できていない | 26.9% |
導入者 n=134。調査主体:株式会社Sells up/調査ツール:Surveroid
MAを導入しない理由
MAを導入していない企業にその理由を聞いたところ、必要性を感じないが約4割弱で最多でした。次いで、コストが見合わないが約2割、社内にノウハウがないが約1割強と続きます。
コストやノウハウといった導入のハードルだけでなく、そもそもMAの必要性を感じていない企業が一定数を占めることがわかります。

| 理由 | 割合 |
|---|---|
| 必要性を感じない | 36.7% |
| コストが見合わない | 20.5% |
| その他 | 18.5% |
| 社内にノウハウがない | 13.3% |
非導入者 n=346。調査主体:株式会社Sells up/調査ツール:Surveroid
マーケと営業の連携状況、生成AI活用、今後の投資
マーケティングと営業の連携状況を全体で見ると、スムーズに連携できているは約2割にとどまります。連携はあるが摩擦・温度差がある、仕組みがなく属人的に対応しているがそれぞれ約2割、マーケティング機能自体がないが約3割です。
生成AIの活用については、積極的に活用し効果が出ているが約1割、一部で試験的に活用しているが約2割です。検討中を含めても半数程度で、活用していない企業が約半数を占めます。
今後1年のMAへの投資方針では、増やす予定が約1割、現状維持が約4割、減らす予定が数%でした。わからないが約半数を占め、投資判断を決めかねている企業が多い状況です。

| マーケと営業の連携 | 割合 |
|---|---|
| スムーズに連携できている | 23.3% |
| 連携はあるが摩擦・温度差がある | 23.1% |
| 仕組みがなく属人的に対応している | 21.5% |
| マーケティング機能自体がない | 32.1% |
| 生成AIの活用 | 割合 |
|---|---|
| 積極的に活用し効果が出ている | 12.7% |
| 一部で試験的に活用している | 22.1% |
| 検討中 | 17.1% |
| 活用していない | 48.1% |

| 今後1年の投資方針 | 割合 |
|---|---|
| 増やす予定 | 12.3% |
| 現状維持 | 37.9% |
| 減らす予定 | 3.8% |
| わからない | 46.0% |
全体 n=480。調査主体:株式会社Sells up/調査ツール:Surveroid
回答者から寄せられた声
自由回答では、MAの活用や営業連携に関する声が寄せられました。ここでは、いただいた回答の一部を、内容ごとに要約して紹介します。
営業連携について
- 見込み判定のデータと、営業担当者の肌感覚が一致しない
- 営業データが担当者に属人化し、部門で共有されない
- 入力の温度差が担当者によって出る
ROI・費用対効果について
- 費用対効果が見えにくく、判断が難しい
ノウハウ・運用工数について
- 社内にスキルのある人材が少なく、活用しきれていない
- 全員が使いこなせているわけではなく、個人の技術力に依存する
- 人手不足でマーケティングまで手が回らない
その他
- 投資に見合う効果が得られるか検討している
自由回答から抜粋・要約。個人・企業が特定される情報は除いています。
本調査の引用・転載について
本調査の数値・図表は、出典を明記いただければ、どなたでも引用・転載いただけます。その際は、以下を明記してください。
調査主体:株式会社Sells up/調査ツール:Surveroid
関連記事:営業連携が機能している企業の共通点 ─ 80社超のMA支援で見えたこと(sellsup.co.jp)
調査主体について
株式会社Sells upは、BtoB企業向けのマーケティング支援・MA導入支援を行う会社です。HubSpot・Account Engagement・Marketoの導入や活用を、80社以上支援してきました。
また、当社はMAの活用を支援するなかで見えてきた「MAにデータは蓄積されているのに、商談につながらない」という課題を解決するため、自社開発のAIエージェント「LisCore」のβ版を2026年11月1日より提供開始します。LisCoreは、MAに蓄積されたデータをAIが継続的に解析し、今日誰に何を届けるべきかというトスアップを毎日自動で生成する、BtoB営業に特化したAIエージェントです。
LisCoreは現在、β版の利用企業を募集しています(10社限定・2027年3月末まで受付)。詳細はβ応募ページをご覧ください。
関連記事:HubSpotが使いづらいと感じる理由(liscore.jp)
本調査は定点調査です
本調査は、BtoB企業のMA活用実態を継続的に観測するための定点調査です。今回の第0回は設計を検証する回であり、次回以降は毎年6月に同じ設問で実施し、経年での変化を追っていく予定です。
