ナレッジ 2026.10.24

MAで集めたリードが商談にならないのはなぜか|止まる場所の見つけ方と次の一手

この記事を書いた人 武田 大 株式会社Sells up 代表取締役

MAで集めたリードが商談にならないのは、多くの場合、リードを集めて行動を記録し、メールを届けるところまでは回っていても、そのデータを見て「誰に、いつ、何をするか」を決め、連絡につなげる工程がないためです。リードから商談までを段階に分け、どこで止まっているかを人数で見たうえで、その段階で使う条件と次の行動を決めると、集めたリードを商談へつなげやすくなります。

MAを導入するとリードの数は増え、管理画面には行動の記録がたまっていきます。それでも商談の数が変わらないとき、原因はツールの機能よりも、たまったデータを次の行動に変える工程にあることがよくあります。

本記事では、リードが商談にならないときに起きていることと、データが次の行動に変わらない理由、止まっている段階の見つけ方、データを次の行動につなげる5つの手順を解説します。

リードが商談にならないとき、何が起きているのか?

多いのは、集める・記録する・届けるところまでは回っているものの、その先でどう判断し、どう連絡するかが決められていない状態です。

  • フォームからリードが入り、Webサイトでの行動の記録もたまっている

  • メールは定期的に配信できている

  • しかし、どのリードに、誰が、いつ連絡するかが決められておらず、集めたリードがそのまま残っている

ファストマーケティング株式会社が2026年5月にBtoB企業に勤める会社員432名を対象に行った調査では、リードの獲得数の目標を達成したと答えた割合が67.8%だったのに対し、SQLは59.0%、新規商談は57.2%でした。リードは集まっていても、その先の段階で目標に届かない企業が一定数あることがうかがえます。

出典:ファストマーケティング株式会社「BtoBマーケティングに関する実態調査 2026」(PR TIMES)

なぜデータは次の行動に変わらないのか?

データが次の行動に変わらない理由は、次の3つです。

リードの状態は毎日変わる

昨日メールを開いた人、今日料金のページを見た人、数か月ぶりにWebサイトへ戻ってきた人がいる一方で、先週まで動いていたのに急に動かなくなる人もいます。一度決めた連絡対象も、翌週には入れ替わっています。

分析は、その時点の判断になる

担当者や支援会社が時間をとって分析しても、それは分析した日の状態を切り取ったものです。分析を続けられないと、決めた対象と今の状態が少しずつずれていきます。データの変化を毎日見て判断し続けるのは、人手だけでは続けにくい作業です。

判断した結果が戻ってこない

営業へ渡したリードが商談になったか、商談にならなかった場合はその理由が記録されないと、どの条件で選んだ相手が商談につながったのかが分かりません。結果が戻らないため、条件を直せないまま同じ選び方が続きます。

弊社調査で見える傾向

弊社がBtoB企業480名を対象に実施した調査では、MAが商談・売上に貢献していると答えた企業(貢献群・42名)と、貢献していない企業(非貢献群・92名)で、営業への通知・トスアップを運用している割合は61.9%と60.9%で、ほとんど差がありませんでした。一方、マーケティングと営業の連携がスムーズだと答えた割合は、貢献群で78.6%、非貢献群で6.5%でした。自由回答には「見込み判定のデータと、営業担当者の肌感覚が一致しない」という回答(要約)もありました。いずれも回答者の認識を集計したもので、関連を示すものであり、因果関係を示すものではありません。

出典:弊社「MA活用実態調査(第0回)」。調査主体:株式会社Sells up/調査ツール:Surveroid(2026年9月、n=480)。詳細は調査レポートをご覧ください。

どこで止まっているかは、どう確かめればよいか?

リードから商談までを段階に分け、段階ごとの人数と、次の段階へ進んだ割合を並べます。減り方が大きい段階が、止まっている場所です。

段階 意味 減り方が大きいときに見ること
獲得したリード フォームなどから入ったリード 自社に合う会社の割合と、流入元
MQL マーケティングが営業へ渡す条件を満たしたリード 条件が厳しすぎないか、緩すぎないか
営業が受け取ったリード 営業が対応すると決めたリード 連絡の期限と、受け取らなかった理由
SQL 営業が話して、商談になりうると判断したリード 最初の連絡までの時間と、つながった割合
商談 案件として登録された段階 課題・時期・予算の確かめ方

段階の分け方は、Forrester(旧SiriusDecisions)のデマンドウォーターフォールなどで使われる整理に沿っています。名前よりも、各段階に入る条件と次へ進む条件を、マーケティングと営業で同じ意味で使えるようにしておきます。人数は全体の平均だけでなく、流入元や業種に分けて見ると、特定の経路だけが止まっていることも見つけられます。

数えるときは、今月の商談数を今月のリード数で割るのではなく、同じ月に獲得したリードがその後どの段階まで進んだかを追います。今月の商談には、過去に獲得したリードが混ざるためです。あわせて、各段階に入ってから次へ進むまでの日数と、まだ誰も対応していない件数を見ると、止まっている理由が人数の少なさなのか、対応の遅れなのかを分けて見られます。そのために、各段階に入った日、次の段階へ進んだ日、担当者、流入元、営業の対応結果を、同じリードにひも付けて残します。

MQLとして営業へ渡す条件の決め方はMQLの判定基準の決め方で解説しています。

データを次の行動につなげるには、どう進めればよいか?

次の5つの手順で進めます。

Step.1:止まっている段階を1つ決める

段階ごとの人数を並べ、減り方が目立つ段階を1つ選びます。いくつもの段階を同時に直そうとすると、どの手直しが効いたのか分からなくなります。

Step.2:その段階で、確かめる相手の条件を決める

選んだ段階で、どの相手を確かめるか、条件を決めます。自社に合う会社か、どんな行動をしたか、以前と比べて動きが変わったか、すでに商談や連絡があるかを組み合わせます。

確かめる相手の選び方はリードの優先順位の決め方で解説しています。

Step.3:条件に当てはまった相手への次の行動と期限を決める

条件に当てはまった相手に、営業が連絡するのか、資料や事例を届けるのか、しばらく様子を見るのかを決め、それぞれ期限を決めます。問い合わせなど、相手が連絡を求めている場合は期限を短くします。

見直す内容は、止まっている段階によって変わります。

  • 獲得したリードからMQLで止まる:対象とする会社の条件と流入元を見直し、合わない経路を分ける

  • MQLから営業が受け取るまでで止まる:渡す条件、担当者、連絡の期限をそろえる

  • 営業が受け取ってからSQLで止まる:最初の連絡の早さ、連絡の手段、伝える内容を見る

  • SQLから商談で止まる:課題、時期、予算、決める人の聞き方を、営業の記録から見直す

Step.4:結果を、選べる項目で記録して戻す

連絡した結果と、商談にならなかった理由を、営業が選んで記録できる項目として用意します。例えば、結果を「話せた」「つながらなかった」「商談になった」「対象外」、商談にならなかった理由を「時期が早い」「予算がない」「課題が合わない」から選ぶようにすると、どの条件が商談につながったかを見直せます。

営業へ渡すときの決めごとは営業へリードを渡す基準と手順で解説しています。

Step.5:毎日見る作業を仕組みに任せ、月に1回条件を見直す

リードの状態は毎日変わるため、条件に当てはまる相手を見つける作業は、MAやSFAの通知、レポート、ツールに任せます。人が見るのは、見つかった相手の状況を確かめて次の行動を決めることと、月に1回など決まった時期に結果を見て条件を直すことです。

LisCoreは、MAやSFAにたまるデータの変化を毎日読み取り、確かめる相手と次の行動の候補を出すことをねらって自社開発しているツールです。

リードの扱い以外に原因があるのはどんな場合か?

次のような場合は、リードを次の行動につなげる工程よりも先に、別の段階を見直したほうが商談につながりやすくなります。

  • 自社の対象外の会社が多い(リード獲得の対象や訴求を見直す)

  • 検討期間が長く、まだ商談の段階ではない(接点を保ちながら時期を待つ)

  • 営業の人数が足りず、渡しても連絡しきれない(渡す件数を絞るか、対応する体制を見直す)

  • リードが少なく、営業がすでに全件に連絡できている(商談になる割合を見るより、リードの数を増やす)

自社に合うリードの数、商談になる割合、営業が対応できる件数、検討にかかる期間に分けて見ると、どこが足りないのかを見分けられます。

「やっているのに成果が出ない」状態から抜け出すために

施策を続けているのに商談が増えない、リードの質が上がらない。こうした課題の多くは、戦略と施策のつながりが設計されていないことが原因です。Sells upは現状の分析と改善の優先順位整理から支援します。

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まとめ

MAで集めたリードが商談にならないのは、集める、記録する、届けるところまでは回っていても、データを見て誰に、いつ、何をするかを判断し、連絡につなげる工程がないことが多いためです。リードの状態は日々変わるため、分析はその時点での判断になります。結果が戻らなければ、条件も見直せません。

リードから商談までを段階に分け、どこで止まっているかを人数で確かめます。そのうえで、その段階で確かめる相手の条件、次の行動と期限、結果の記録の仕方を決めます。毎日見る作業は仕組みに任せ、人は相手の状況を確かめて判断することと、条件の見直しに時間を使います。対象外のリードが多い場合や、営業の人数が足りない場合は、別の段階を先に見直します。

よくある質問

MAを導入したのに商談が増えないのは、ツールが合っていないからですか?

ツールが原因とは限りません。リードを集め、行動を記録し、メールを届けるところまで回っているなら、その先でデータを見て、誰にいつ連絡するかを決める工程が抜けていることがあります。ツールを替える前に、段階ごとの人数を並べ、どこで止まっているかを見ます。

MQLは増えているのに商談が増えません。どこを見ればよいですか?

MQLのあと、営業が受け取った件数、最初の連絡までの時間、連絡がつながった割合、受け取らなかった理由を見ます。営業が受け取っていない場合は、渡す条件が営業の考えと合っていない可能性があります。受け取っているのに商談にならない場合は、連絡の時期や内容を見直します。

営業がリードに連絡してくれません。どうすればよいですか?

まず、営業に渡しているリードの条件と連絡の期限を、営業と一緒に見直します。営業が連絡しない理由は、条件が営業の考えと合っていない、件数が多すぎて手が回らない、渡したあとの結果を記録する場所がない、などさまざまです。結果は選択式の項目で記録してもらい、その結果をもとに条件を直します。

データの分析は、どのくらいの頻度で行えばよいですか?

条件に当てはまる相手を拾う作業は毎日行い、条件そのものの見直しは月に1回など決まった時期に行うのが、続けやすい分け方です。毎日の作業は通知やレポート、ツールに任せ、人は拾われた相手の状況を確かめて決めることに時間を使います。

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株式会社Sells up 代表取締役
武田 大
株式会社AOKIにて接客業、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。デジタルマーケティングエージェンシーを経て2023年に株式会社Sells upを設立。戦略設計・KPI設計を起点に、リードジェネレーション、ナーチャリング、MA/SFA活用、営業連携までBtoBマーケティングを一気通貫で支援。KGI逆算のKPI設計やリードスコアリングの統計的設計、営業連携SLAの構築を強みとし、業界・規模を問わず100社以上に提供。Account Engagement SpecialistおよびTableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。
保有資格Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist/Tableau Desktop Specialist
専門領域BtoBマーケティング/リードジェネレーション/リードナーチャリング/マーケティングオートメーション/HubSpot導入活用支援/Account Engagement導入活用支援/Marketo活用支援/インサイドセールス/統計解析によるスコアリング設計/商談化率向上/マーケティングROI改善