ナレッジ 2026.10.24

リードの優先順位の決め方|数千件から今連絡する相手を選ぶ手順

この記事を書いた人 武田 大 株式会社Sells up 代表取締役

リードが数千件あるときは、すべてのリードを同じ頻度で追おうとせず、自社に合う会社かどうか(属性)、どのような行動をしたか、以前と比べて動きが変わったか、すでに商談や連絡があるかを見て、確かめる相手を絞ります。連絡するかどうかは、その相手の状況を見て人が決めます。毎日のデータを見比べて変化を拾う作業は仕組みに任せ、相手の状況を考えて次の行動を決める判断は人に残すのが、続けやすい分け方です。

リードの数が増えるほど、一件ずつ訪問の記録や見たページを毎日たどる時間は足りなくなります。優先順位をつけるときに何を見るか、どこまでを仕組みに任せるかを先に決めておくと、少ない人数でも連絡が遅れにくくなります。

この記事では、リードの優先順位を決める5つの観点と、仕組みに任せる範囲、優先順位づけを仕組みにする5つの手順を解説します。

なぜリードが増えると、優先順位をつけられなくなるのか?

リードが増えると優先順位をつけにくくなるのは、確かめる件数が増えるだけでなく、リードの状態も日々変わるためです。昨日確かめたリードが今日も同じ状態とは限らず、しばらく動きのなかったリードが急に動き始めることもあります。

  • 一人ひとりの行動を毎日見比べる時間が足りなくなる

  • 確かめる人によって見るところが違い、選ぶ相手にばらつきが出る

  • 忙しい日は見比べる作業が後回しになり、配信数や開封数など、数えやすい数字だけを見がちになる

行動のデータが足りないのではなく、データを見て相手を選ぶ時間が足りないことが、優先順位をつけにくくなる主な原因です。

リードの優先順位は、何で決めればよいか?

優先順位は、1つの点数だけで見るのではなく、次の5つの観点を組み合わせて決めます。

  • 自社に合う会社か(業種・規模・役職などの属性)

  • どんな行動をしたか(問い合わせ、資料請求、事例や料金のページの閲覧など)

  • 以前と比べて動きが変わったか(再訪、閲覧の急増、見るページの変化)

  • いつ連絡するか(相手が連絡を求めているか)

  • すでに商談や連絡があるか(営業が対応中の相手か)

自社に合う会社かを先に見る

行動が多くても、自社が対象としていない業種や規模の会社であれば、優先する理由は弱くなります。属性で対象かどうかを先に分け、そのうえで行動を見ます。

行動の強さを分けて見る

問い合わせやデモの申し込みのように相手が連絡を求めている行動と、記事を読んだ行動とでは、意味が違います。行動の種類ごとに重みを分けて扱います。

以前からの変化を見る

累積の点数が高いリードだけを上から並べると、以前から行動の多い人ばかりが上位に残ります。しばらく動きのなかったリードが再訪した、記事しか見ていなかったリードが事例や料金のページを見た、といった変化を拾うと、今確かめる価値のある相手を見つけやすくなります。

行動の読み方は行動データから温度感を読む方法で解説しています。

相手から連絡を求めているリードには、早く連絡する

問い合わせなど、相手が連絡を求めているリードは、対応の速さで結果が変わりやすい相手です。MITとInsideSalesがWebからの問い合わせを対象に行ったLead Response Managementの研究では、5分以内に連絡した場合、30分後と比べて商談候補として資格付けできる確率が約21倍と報告されています。これは受注の確率ではなく、すべてのリードに当てはめるものでもないため、相手が連絡を求めている行動に絞って期限を短くします。

すでに商談や連絡がある相手を落とさない

最近の行動だけで並べると、すでに営業が商談を進めている相手が、Webサイトへの訪問が少ないという理由で下位に落ちることがあります。商談の段階、最後に連絡した日、担当者も、優先順位を決める材料に入れます。

優先度と対応の組み合わせは、例えば次のように決めます。期限や条件は、自社の商材と営業の人数に合わせて決めます。

優先度 条件の例 対応の例
すぐに連絡する 問い合わせ、デモの申し込み 担当者に知らせ、その日のうちに連絡する
その日のうちに確かめる 自社に合う会社で、再訪や事例・料金のページの閲覧など動きの変化がある 状況を確かめて、連絡するか資料を案内するかを決める
メールで接点を保つ 自社に合う会社だが、目立った動きはない 関心に合わせた情報を届ける
対象から外す 対象外の業種、競合、配信停止、採用目的の閲覧など 連絡しない

同じ優先度の中では、相手が連絡を求めた行動を先に扱い、次にその日に動きの変化があったリードを見ます。電話がつながらなかった相手は、同じ日に何度も一覧の上位に残さず、次に連絡する日を決めて一時的に外すと、ほかの候補を見落としにくくなります。

仕組みに任せる部分と、人が判断する部分はどう分けるか?

大量のデータを毎日見比べ、変化のあったリードを拾い出す作業は仕組みに任せます。一方で、相手の状況を確かめて次の行動を決める判断は人が行います。

仕組みに任せること 人が判断すること
毎日の行動を記録し、以前と比べる 相手の役職や会社の状況、これまでのやり取りを確かめる
変化のあったリードを拾い、確かめる候補として並べる すぐ連絡するか、資料を送るか、もう少し待つかを決める
候補ごとに、拾った理由(どの行動・どの変化か)を添える 連絡の結果を記録し、候補の条件を見直す

仕組みが挙げた候補は、そのまま営業の優先順位として扱うのではなく、状況を確かめる手がかりとして使います。行動が多いからといって優先度が高いとは限りません。訪問が少なくても、以前に具体的な相談を受けている会社なら、先に対応したほうがよい場合もあります。

AIによる予測のスコアを使う場合の前提

AIで受注や商談につながりやすいかを見立てるスコアは、過去に商談や受注になったリードと、ならなかったリードの違いを学習します。そのため、一定量のデータが前提になります。例えば Salesforce の Einstein リードスコアリングは、過去200日に作成されたリードが1,000件以上、そのうち取引先責任者などに転換されたリードが120件以上あることを利用の条件としています。予測スコアは確率の保証ではなく、過去の傾向にどれだけ近いかの順位として扱い、最後は人が判断します。

リードの優先順位づけを仕組みにするには、どう進めればよいか?

次の5つのステップで進めます。最初から細かく作り込まず、使いながら条件を見直します。

Step.1:確かめる相手の条件を決める

属性・行動・変化を組み合わせて、確かめる相手の条件を決めます。例として「自社に合う業種・規模で、しばらく動きのなかったリードが再訪し、事例や料金ページを見た」のように、営業が読んで分かる言葉で書きます。

営業へ渡すリードの条件の決め方はMQLの判定基準と決め方で解説しています。

Step.2:外す条件を決める

既存顧客からのサポート問い合わせ、競合会社、採用目的の閲覧、配信停止を希望した人など、優先順位の対象から外す条件を決めます。外す条件がないと、候補の中に連絡すべきでない相手が混ざってしまいます。

仕組みに入れる条件は、「候補に挙げる条件」「外す条件」「担当者へ知らせる条件」の3つに分けて登録します。担当者へ知らせる条件は、問い合わせなど、相手が連絡を求めている行動に絞ると、通知が多すぎて見落とす状態を避けやすくなります。

Step.3:1日に確かめられる件数から逆算する

営業やインサイドセールスが1日に確かめられる件数を先に決め、その件数に収まるように候補を絞ります。候補が多すぎると、上位以外は見られないまま残ります。

Step.4:連絡の期限と、結果の記録の仕方を決める

優先度ごとに、いつまでに連絡するか、連絡した結果をどこにどう記録するかを、マーケティングと営業で決めておきます。結果は自由記述だけにせず、選んで記録できる項目にします。例として、連絡の結果を「話せた」「つながらなかった」「情報提供のみ」「商談になった」「対象外」、次の行動を「もう一度連絡」「メールを送る」「営業へ渡す」「保留」から選べるようにすると、どの条件の候補が商談につながったかを見直しやすくなります。

Step.5:結果から条件を見直す

候補として挙がったリードが商談になったか、ならなかった場合はその理由を、月に1回など決まった時期に見直します。商談になりやすかった条件を残し、ならなかった条件を外していくと、候補の精度が上がっていきます。

候補として挙がったリードが商談にならないときに、どの段階で止まっているかの確かめ方はリードが商談にならないときの止まる場所の見つけ方で解説しています。

弊社調査で見える傾向

弊社がBtoB企業480名を対象に実施した調査では、MAが商談・売上に貢献していると答えた企業(貢献群・42名)のうち、リードスコアリングを運用している割合は40.5%、貢献していない企業(非貢献群・92名)では23.9%でした。マーケティングと営業の連携がスムーズだと答えた割合は、貢献群で78.6%、非貢献群で6.5%でした。いずれも回答者の認識を集計したもので、関連性を表すものです。スコアリングを運用すれば成果が上がる、という因果関係を表すものではありません。

出典:弊社「MA活用実態調査(第0回)」。調査主体:株式会社Sells up/調査ツール:Surveroid(2026年9月、n=480)。詳細は調査レポートをご覧ください。

優先順位づけを仕組みにしなくてよいのはどんな場合か?

次のような場合は、仕組みを作るより、担当者が一覧を見て判断するほうが早く、判断もしやすいことがあります。

  • リードの数が少なく、営業が毎日全件に目を通せる

  • 狙う会社が少数に絞られていて、会社ごとに状況を追っている

  • 問い合わせなど相手からの連絡が中心で、行動から相手を選ぶ必要が少ない

リードが増えて、全件を見られなくなった時点で、仕組みに任せる範囲を広げます。

点数で並べる方法はリードスコアリングの設計手順で解説しています。

LisCoreは、MAやSFAにたまった行動と商談のデータから、確かめる価値がありそうなリードを拾い、営業が日々の連絡で使える形にすることをねらって自社開発しているツールです。

「やっているのに成果が出ない」状態から抜け出すために

施策を続けているのに商談が増えない、リードの質が上がらない。こうした課題の多くは、戦略と施策のつながりが設計されていないことが原因です。Sells upは現状の分析と改善の優先順位整理から支援します。

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まとめ

リードが数千件あるときは、全員を同じ頻度で見るのではなく、自社に合う会社か、どんな行動をしたか、以前と比べて動きが変わったか、いつまでに連絡するか、すでに商談や連絡があるかの5つの観点で、確かめる相手を絞ります。データを見比べて変化を拾う作業は仕組みに任せ、相手の状況を確かめたうえで次の行動を決める部分は人が判断します。

仕組みに任せるときは、確かめる相手の条件と外す条件を決め、1日に確かめられる件数から候補を絞ります。そのうえで、連絡の期限と記録の仕方を決め、結果を見ながら条件を見直します。リードが少ない場合や狙う会社が少数の場合は、担当者が一覧を見て判断するほうが早いこともあります。

よくある質問

スコアの高い順に連絡すればよいですか?

スコアが高い順に見るだけでは、以前から行動の多い人ばかりが上位に残り、最近動き始めた人や、すでに商談中の相手を見落とすことがあります。スコアに加えて、以前からの変化と、商談や連絡の状況をあわせて見ます。

何件くらいから、優先順位づけを仕組みにすべきですか?

件数だけで一律に線を引けるものではありません。営業やインサイドセールスが毎日全件に目を通せなくなった時点が、仕組みに任せる範囲を広げる目安です。1日に確かめられる件数と、毎日新しく動きのあるリードの件数を比べて判断します。

AIで予測するスコアを使えば、人の判断は要りませんか?

要ります。予測のスコアは、過去の傾向にどれだけ近いかを表すもので、相手の今の状況や、予算・導入時期などの事情までは分かりません。仕組みが挙げた候補を、人が状況を確かめて判断します。また、予測のスコアを使うには、過去の商談や受注の記録が一定量あることが前提になります。

問い合わせには、どのくらい早く連絡すべきですか?

相手が連絡を求めている問い合わせやデモの申し込みには、できるだけ早く連絡します。Webからの問い合わせについての研究では、5分以内に連絡した場合に商談候補として資格付けできる確率が、30分後と比べて約21倍と報告されています。自社の体制で守れる期限を決め、守れているかを記録して見直します。

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株式会社Sells up 代表取締役
武田 大
株式会社AOKIにて接客業、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。デジタルマーケティングエージェンシーを経て2023年に株式会社Sells upを設立。戦略設計・KPI設計を起点に、リードジェネレーション、ナーチャリング、MA/SFA活用、営業連携までBtoBマーケティングを一気通貫で支援。KGI逆算のKPI設計やリードスコアリングの統計的設計、営業連携SLAの構築を強みとし、業界・規模を問わず100社以上に提供。Account Engagement SpecialistおよびTableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。
保有資格Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist/Tableau Desktop Specialist
専門領域BtoBマーケティング/リードジェネレーション/リードナーチャリング/マーケティングオートメーション/HubSpot導入活用支援/Account Engagement導入活用支援/Marketo活用支援/インサイドセールス/統計解析によるスコアリング設計/商談化率向上/マーケティングROI改善