ナレッジ 2026.10.31

HubSpotのデータを分析に使う前に確かめること|期間・件数・項目の整え方

この記事を書いた人 株式会社Sells up 代表取締役 武田大 武田 大 株式会社Sells up 代表取締役

HubSpotのデータを分析に使う前には、受注・失注した相手の行動を比較できる状態かを確かめます。特に見ておきたいのは、取引とコンタクトの関連付け、受注・失注のステージとクローズ日、失注理由、Webサイトの閲覧履歴がコンタクトに関連付いているかです。記録が足りない場合は、過去のデータをすべて直す前に、これから入るデータの記録方法をそろえることから始めます。

HubSpotにリードの行動履歴や商談の情報が蓄積されていても、そのまま分析に使えるとは限りません。

例えば、受注した取引にコンタクトが関連付いていなければ、受注した人が商談前にどのページを見ていたのか分かりません。失注した取引の理由が記録されていなければ、どのようなリードが商談に進まなかったのかを比較できません。展示会の名刺から取り込んだコンタクトにWebサイトの閲覧履歴がなければ、行動が少ないリードとして集計されてしまう可能性もあります。

こうした状態で分析を進めると、実際の商談状況ではなく、HubSpotに記録されている情報の偏りをもとに判断してしまいます。

リードの優先順位を見直したり、スコアリングの配点を調整したりするには、まず受注・失注した相手の行動を比較できる状態かどうかを確かめる必要があります。

本記事では、HubSpotのデータを分析に使う前に確かめたい理由、必要な期間と件数、確かめるべき項目、Webサイトの閲覧履歴が残らない原因、データが不足している場合の進め方を解説します。

なぜ、分析を始める前にデータを確かめる必要があるのか?

分析結果を判断に使えるかどうかは、もとになる記録がどの程度そろっているかに左右されます。

例えば、受注した取引と失注した取引の行動を比較し、「受注した人は料金ページをよく見ている」という傾向が見つかったとします。

しかし、受注した取引のコンタクト関連付けが一部しか行われておらず、料金ページの閲覧履歴を取得できているのが限られたコンタクトだけだったとしたら、その傾向をそのまま自社の営業活動に当てはめることはできません。

分析結果に影響するのは、次のような記録の欠けです。

  • 取引とコンタクトが関連付いていない: 受注した取引は分かっても、誰が関わっていたのか、その人がどのような行動をしていたのかを取り出せない

  • 失注した取引が正しく管理されていない: 失注した取引が商談中のまま残り、失注した相手と現在進行中の相手が混ざってしまう

  • 失注理由が入力されていない: 予算、競合、導入時期など、商談が成立しなかった理由を比較できない

  • Webサイトの閲覧履歴が残っていない: フォームから獲得したリードと名刺から取り込んだリードで、取得できている行動情報に差がある

  • 同じコンタクトが複数登録されている: 1人の行動履歴が複数のレコードに分かれ、実際より活動量が少なく見える

特に注意したいのは、記録が欠けていること自体よりも、特定の種類のリードや取引だけに欠けが集中しているケースです。

例えば、Webサイトから獲得したリードには閲覧履歴が残っている一方、展示会で獲得したリードには残っていないとします。この2つを同じ条件で比較すると、Webサイト経由のリードのほうが関心度が高いように見えるかもしれません。しかし、実際には行動の差ではなく、記録の取得方法の違いである可能性があります。

分析では、記録されている行動だけでなく、記録されていない行動がどのような相手に多いのかも確かめる必要があります。

MAとCRM・SFAの連携状況にも差がある

弊社がBtoB企業でマーケティング・営業に関わる480名を対象に実施した調査では、MAを導入している企業の担当者134名のうち、CRM・SFAとの連携を運用できていると回答した割合は23.1%でした(複数回答)。

また、MAが商談・売上に貢献していると答えた担当者(42名)と、そうでない担当者(92名)を比較すると、CRM・SFA連携を運用できている割合はそれぞれ33.3%、18.5%でした。

この結果だけで、CRM・SFAとの連携がMAの成果につながると断定することはできません。ただし、マーケティング活動の記録と営業活動の記録を結び付けて管理することに、課題を抱えている企業が少なくないことはうかがえます。

出典:株式会社Sells up『MA活用実態調査(第0回)』。調査主体:株式会社Sells up/調査ツール:Surveroid(2026年9月、回答者480名)。詳細は調査レポートをご覧ください。

どのくらいの期間と件数があれば分析できるか?

分析に必要な件数や期間に、すべての会社に当てはまる基準はありません。

商材の単価、営業期間、リードの獲得数によって、比較に必要なデータ量は変わります。大切なのは、受注した相手と失注した相手を分け、それぞれの行動を比較できるだけの記録があるかどうかです。

HubSpotのAIスコアに必要な件数は、分析に十分な件数とは限らない

HubSpotのヘルプでは、AIでコンタクトのスコアを作成する際、転換したコンタクト25件以上と、転換していないコンタクト25件以上が必要とされています。

ただし、これはHubSpotのAI機能を利用するための条件です。自社で受注・失注したリードの行動を比較し、スコアの配点や営業への引き渡し条件を決めるために、十分な件数があるという意味ではありません。

例えば、受注したコンタクトが25件あっても、そのうち料金ページを閲覧した人が2人しかいなければ、料金ページの閲覧を受注につながる行動として評価するには材料が足りません。

件数だけでなく、分析したい行動がどの程度の頻度で発生しているかも確かめます。

比較する期間は、商談の進み方に合わせる

分析対象の期間は、自社の商談が受注・失注に至るまでの長さを考慮して決めます。

例えば、問い合わせから1か月程度で受注する商材と、検討開始から半年以上かけて受注する商材では、確かめるべき行動の期間が異なります。

検討期間が長い商材の場合、問い合わせ直前の行動だけを見ても、検討初期にどのような情報を集めていたのかを把握できません。商談が始まる前の数か月分の行動を確かめられる期間を選ぶ必要があります。

また、受注したコンタクトと失注したコンタクトで、観察する期間をそろえることも大切です。

例えば、受注した人は問い合わせから商談化までの90日間を集計し、失注した人は登録から1年間の行動を集計すると、行動回数に差が出ても不思議ではありません。比較する期間が異なるためです。

できるだけ同じ条件で比べられるように、次のような基準を決めておきます。

  • どの時点から行動を集計するか(初回接点、コンタクト作成日、問い合わせ日など)

  • どの時点までの行動を見るか(MQL到達前、商談化前、初回商談前など)

  • 受注・失注のどちらを分析対象にするか

  • まだ商談中の取引を分析対象から外すか

特に、まだ商談が進んでいる取引を、受注していないという理由だけで失注側に含めないようにします。受注・失注が確定していない取引は、別に管理するのが基本です。

件数が少ないうちは、傾向を仮のものとして扱う

受注・失注の件数が少ない段階でも、分析を始めること自体はできます。ただし、少数の取引で見つかった傾向を、そのままスコアの配点や営業への引き渡し条件に反映するのは避けたほうがよいでしょう。

例えば、直近の受注が5件あり、そのうち4件が導入事例ページを閲覧していたとします。この結果から、導入事例ページの閲覧が受注につながりやすいと考えることはできます。しかし、5件だけでは、たまたまそのページを見ていた可能性も残ります。

まずは仮説として記録し、その後の受注・失注でも同じ傾向が見られるかを確かめます。

分析の前に確かめたいHubSpotの項目

ここからは、受注・失注したコンタクトの行動を比較する前に確かめたい項目を整理します。

確かめる項目 そろっている状態 欠けていると起きること
取引とコンタクトの関連付け 受注・失注した取引に、関係するコンタクトが関連付いている 取引に関わった人の行動を取り出せない
取引の受注・失注とクローズ日 終了した取引が受注または失注に移され、クローズ日が記録されている 商談中の取引と終了した取引が混ざる
失注理由 失注した取引に、選択式の理由が入力されている 失注した理由を分類・集計できない
ライフサイクルステージと各段階に入った日 リード、MQL、商談などの段階と、段階が変わった日が記録されている どの行動が商談化より前にあったのか分からない
リードステータス 営業が対応した結果が記録されている 営業に渡した後の状況を集計できない
コンタクトの所有者 担当者が設定されている 誰が対応したか分からず、対応状況を比較できない
Webサイトの閲覧履歴 主なページに追跡コードが入り、閲覧履歴がコンタクトに関連付いている Web上の行動を正しく比較できない
流入元・獲得経路 フォーム、展示会、広告などの獲得経路が記録されている 獲得経路による行動の違いを区別できない
重複・表記ゆれ 同じコンタクトや会社が不必要に複数登録されていない 行動履歴や取引情報が分散する

それぞれの項目について、確かめたいポイントを説明します。

1. 取引とコンタクトが関連付いているか

HubSpotでは、取引とコンタクトを関連付けて管理できます。

しかし、取引を作成しただけで、関係するコンタクトが自動で正しく関連付くとは限りません。営業担当者が取引を作成する際に関連付けを忘れていたり、後から担当窓口が変わったりすることもあります。

受注した取引を抽出できても、コンタクトとの関連付けがなければ、その人が商談前にどのページを見ていたか、どのメールに反応していたかを確かめられません。

また、BtoB企業の商談では、1つの取引に複数のコンタクトが関わることがあります。担当窓口だけでなく、決裁者や日々の運用を担う担当者など、誰がどのように関わっていたのかを確かめられると、分析の精度を高めやすくなります。

まずは直近の受注・失注した取引をいくつか抽出し、関係するコンタクトが関連付いているかを確かめます。特定の営業担当者や取引だけで関連付けが抜けていないかも見ておきましょう。

2. 受注・失注のステータスとクローズ日が正しく記録されているか

取引のステージが正しく更新されていないと、受注・失注の分類そのものがずれてしまいます。

例えば、実際には失注しているにもかかわらず、取引が「商談中」のまま残っているケースです。この取引が分析対象に含まれると、失注した相手の行動を正しく比較できません。

また、受注・失注のステージだけでなく、クローズ日も確かめます。クローズ日が入力されていなかったり、実際の終了日と大きく異なっていたりすると、分析対象の期間を正しく絞り込めなくなります。

確かめる際は、次の点を見ておきます。

  • 受注した取引が受注ステージに移されているか

  • 失注した取引が失注ステージに移されているか

  • まだ商談中の取引が失注扱いになっていないか

  • クローズ日が実際の受注日・失注日と大きくずれていないか

特に、営業担当者ごとに取引ステージの更新ルールが異なる場合は注意が必要です。例えば、ある担当者は受注が決まった時点で更新し、別の担当者は契約書の締結後に更新していると、同じ「受注」でも記録されるタイミングが異なります。

取引ステージをいつ更新するのか、クローズ日をいつ入力するのかを社内でそろえておきましょう。

3. 失注理由が選択式で記録されているか

HubSpotには、失注理由(Closed lost reason)の標準プロパティが用意されています。

失注理由を自由記述だけで管理していると、後から集計する際に手間がかかります。

例えば、同じような理由でも「予算不足」「予算が合わない」「費用面で見送り」といった表現が混在すると、別々の理由として集計されてしまうことがあります。

まずは、社内で使う失注理由を選択式にして、入力ルールをそろえます。

選択肢は、自社の商談で実際に発生する理由に合わせて設定します。例えば、次のような分類が考えられます。

  • 予算が合わなかった

  • 競合サービスに決まった

  • 導入時期が合わなかった

  • 社内での検討が進まなかった

  • 課題やニーズが合わなかった

  • 連絡が取れなくなった

  • その他

補足情報を残したい場合は、選択式の理由とは別に自由記述欄を用意します。これにより、集計しやすさを保ちながら、個別の事情も記録できます。

また、失注ステージに移すときに理由を入力するルールを設けておくと、空欄の取引が混ざりにくくなります。

失注理由は、単に失注件数を集計するためだけの項目ではありません。例えば、競合に負けることが多いのか、予算が合わないケースが多いのかによって、マーケティングで伝えるべき情報や営業の対応も変わります。

失注の記録の残し方は、失注した案件はいつ再アプローチするかでも解説しています。

4. ライフサイクルステージと各段階に入った日が残っているか

リードの行動を分析する際は、その行動がどの段階で発生したのかを区別する必要があります。

例えば、商談化する前に料金ページを閲覧していたのか、商談が始まった後に閲覧していたのかでは、意味が異なります。

商談化した後に何度も料金ページを見ていたとしても、それを商談化のきっかけになった行動として扱うことはできません。

HubSpotのライフサイクルステージでは、リード、MQL、SQL、商談、顧客など、コンタクトがどの段階にいるかを管理できます。各ステージに入った日付も確かめられるため、行動履歴と組み合わせて分析できます。

確かめたいのは、次のような点です。

  • MQLになった日が記録されているか

  • 営業に引き渡された日やSQLになった日が記録されているか

  • 商談化した日を特定できるか

  • ライフサイクルステージの更新ルールが社内で統一されているか

なお、ライフサイクルステージと取引ステージは別のものです。ライフサイクルステージはコンタクトや会社が顧客になるまでの段階を表し、取引ステージは個々の商談の進捗を表します。

この2つを混同すると、コンタクトが商談段階に入った日と、取引が商談ステージに移った日が一致しない場合に、分析結果を読み違える可能性があります。

どちらの日付を基準にするのか、分析の目的に合わせて決めておきましょう。

5. リードステータスとコンタクトの所有者が設定されているか

マーケティングから営業にリードを引き渡した後の状況も、分析に使う情報です。

例えば、スコアが一定以上になったリードを営業に渡している場合、渡した後に連絡できたのか、商談につながったのか、対象外として見送られたのかを確かめられなければ、スコアの妥当性を判断できません。

HubSpotのリードステータスには、営業の対応状況を記録できます。自社の運用に合わせて、未対応、対応中、連絡済み、見送りなどの状態を管理しておきます。

あわせて、コンタクトの所有者が設定されているかも確かめます。

担当者が分からなければ、誰が対応したのか、どの担当者の案件で商談化率が高いのかといった比較が難しくなります。

ただし、担当者ごとの成績を比較する場合は、担当者の経験や担当業界、商材、案件規模なども影響します。単純に商談化率だけを比べて、営業担当者の対応の良し悪しを判断しないようにしましょう。

6. Webサイトの閲覧履歴がコンタクトに関連付いているか

Webサイトの閲覧履歴を分析に使う場合は、HubSpotのトラッキングコードが正しく設置されているかだけでなく、閲覧履歴がコンタクトに関連付いているかも確かめます。

HubSpotでは、訪問者がコンタクトになる前から、Cookieを使って匿名の訪問履歴を記録します。その後、HubSpotのフォームが送信されたり、追跡対象のマーケティングEメール内のリンクがクリックされたりすると、それまでの閲覧履歴がコンタクトに関連付けられます。

そのため、コンタクトとして登録されていても、Webサイトの閲覧履歴が残っていない場合があります。

例えば、次のようなケースです。

  • 手動で作成したコンタクト

  • 展示会の名刺や外部リストからインポートしたコンタクト

  • 外部システムとの同期で取り込んだコンタクト

  • Cookieを利用できない状態で訪問したコンタクト

  • HubSpotのトラッキングコードが設置されていないページを閲覧した訪問者

特に、展示会で獲得した名刺や営業リストから取り込んだコンタクトは、HubSpotのフォームを送信したことがない場合があります。そのため、コンタクトの登録日より前の閲覧履歴が、必ずしもコンタクトに関連付いているわけではありません。

この状態でフォーム経由のリードとインポートしたリードを一緒に集計すると、インポートしたリードの行動が実際より少なく見える可能性があります。

Webサイトの行動を比較するときは、獲得経路ごとに分けるか、閲覧履歴を取得できているコンタクトに対象を絞るなど、条件をそろえて分析します。

展示会の名刺や外部リストのように閲覧履歴が残りにくいリードを今から使えるかは、古い名刺やリストは今から使えるかで解説しています。

インポートしたコンタクトの過去の閲覧履歴が関連付く条件

HubSpotのヘルプによると、インポートしたコンタクトがHubSpotのフォームを送信するか、追跡されたマーケティングEメールのリンクをクリックすると、Cookieに残っている閲覧履歴がコンタクトに関連付けられます。

インポートした時点で過去の閲覧履歴がすべて自動的に関連付くわけではありません。

また、Cookieが削除されていたり、別のブラウザや端末からアクセスしていたりすると、以前の訪問履歴を関連付けられない場合があります。

閲覧履歴がないからといって、Webサイトを一度も見ていないとは限りません。分析するときは、行動がなかったのか、行動を記録できていなかったのかを分けて考える必要があります。

閲覧履歴が残っているリードから、今週連絡する相手を見つける手順はHubSpotの行動の記録から、今週連絡する相手を見つけるにはで解説しています。

7. 流入元や獲得経路が記録されているか

受注・失注したコンタクトの行動を比較するときは、どこから獲得したリードなのかも確かめます。

例えば、広告経由のリードと展示会経由のリードでは、HubSpotに登録されるまでの経緯も、その後の行動も異なります。

広告経由のリードはWebサイト上の行動を取得できている一方、展示会経由のリードは名刺情報だけが登録されている、といった違いがあるためです。

この2つを区別せずに比較すると、獲得経路の違いが行動の差として表れてしまう可能性があります。

HubSpotの流入元に関するプロパティや、フォーム、キャンペーンなどの情報を確かめ、分析対象のコンタクトがどの経路から登録されたのかを把握できる状態にしておきましょう。

流入元ごとに件数が十分にある場合は、まず全体を比較し、その後に広告、自然検索、展示会、紹介などに分けて傾向を見ると、違いを把握しやすくなります。

重複や表記ゆれは、どう扱えばよいか?

同じ人や会社の情報が複数のレコードに分かれていると、行動履歴や取引情報も分散してしまいます。

例えば、同じ人が会社のメールアドレスと個人のメールアドレスで登録されている場合、それぞれのコンタクトに別々の行動履歴が残ります。実際には1人が複数回Webサイトを訪問していても、レコードごとに集計すると行動回数が少なく見えることがあります。

分析前には、次の点を確かめます。

  • 同じメールアドレスのコンタクトが複数登録されていないか

  • 同じ人が異なるメールアドレスで登録されていないか

  • 同じ会社が異なる会社名で複数登録されていないか

  • コンタクトと会社の関連付けが正しく行われているか

コンタクトの重複を見るときは、メールアドレスを手掛かりにできます。会社の重複については、会社名だけでなくドメインも見ると見つけやすくなります。

ただし、同じ会社に所属している別々の人を、会社ドメインが同じという理由だけで統合してはいけません。担当者や決裁者など、別のコンタクトとして管理すべき人もいます。

また、会社名の表記ゆれも集計に影響します。「株式会社〇〇」「〇〇株式会社」「〇〇(株)」のような違いがあると、会社単位で集計した際に別の会社として扱われる場合があります。

重複や表記ゆれをどこまで整理するかは、分析の単位によって変わります。コンタクト単位で行動を比較するのか、会社単位で受注状況を比較するのかを決めてから整理しましょう。

詳しい整理方法は、MAのリードデータの重複・表記ゆれはどう整理するかで解説しています。

実際に分析を始める前に、どの順番で確かめればよいか?

ここまでの項目をすべて一度に確かめようとすると、作業量が大きくなります。まずは、分析したい目的に合わせて、必要な記録がそろっているかを順番に確かめます。

おすすめの進め方は次のとおりです。

Step.1:分析したい結果を決める

最初に、何につながったリードを見つけたいのかを決めます。

例えば、次のような違いがあります。

  • MQLになったコンタクトを見つけたい

  • 営業が対応したコンタクトのうち、商談化した人を見つけたい

  • 商談化したコンタクトのうち、受注した人を見つけたい

これらは同じではありません。MQLになった行動と、受注につながった行動が必ずしも一致するわけではないためです。

分析の目的が曖昧なまま進めると、どの取引を受注群・失注群に含めるべきかも決められません。

Step.2:対象期間と対象件数を決める

直近何か月の取引を対象にするのか、どの時点までの行動を比較するのかを決めます。

商談期間が長い場合は、短い期間だけで判断しないようにします。また、受注・失注が確定していない取引は、別に扱います。

Step.3:受注・失注した取引を抽出する

HubSpotの取引データから、受注と失注の取引をそれぞれ抽出します。

この段階で、取引ステージ、クローズ日、失注理由が入力されているかを確かめます。失注理由が空欄の取引や、実際には終了しているのに商談中のまま残っている取引があれば、先に記録を整えます。

Step.4:関連するコンタクトと行動履歴を確かめる

抽出した取引にコンタクトが関連付いているかを確かめ、コンタクトの行動履歴を取り出せるかを確かめます。

Webサイトの閲覧履歴については、トラッキングコードの設置状況だけでなく、コンタクトへの関連付けができているかも確かめます。

Step.5:獲得経路や記録の違いを確かめる

フォームから獲得したリードと、展示会や営業リストから取り込んだリードが混在していないかを確かめます。

必要に応じて獲得経路ごとに分け、同じ条件で比較できる範囲を決めます。

Step.6:分析に使えるデータと、使わないデータを分ける

ここまで確かめられたら、分析に使えるデータと、記録が不足しているデータを分けます。

すべてのレコードを無理に使う必要はありません。例えば、Webサイトの行動を分析するのであれば、閲覧履歴が取得できているコンタクトに対象を絞る方法もあります。

ただし、対象を絞った結果、特定の獲得経路や営業担当者に偏っていないかは確かめておきましょう。

まだ分析しなくてよいのは、どんな場合か?

次のような状態であれば、受注・失注したリードの行動を比較する分析は、いったん見送ってもよいでしょう。

  • 受注・失注の件数が少なく、行動の違いを比較する材料が足りない

  • 取引の情報がHubSpotではなく別の表計算ファイルで管理されており、コンタクトと関連付けられていない

  • 受注・失注のステージやクローズ日が正しく更新されていない

  • 失注理由がほとんど入力されていない

  • リードの多くが名刺や外部リストからの取り込みで、Webサイトの閲覧履歴が残っていない

  • 重複したコンタクトや会社が多く、行動履歴が分散している

この状態で分析を進めても、見つかった傾向が実際の商談状況を反映しているのか、記録の偏りによるものなのかを判断しにくくなります。

ただし、すべての分析を止める必要はありません。

例えば、Webサイトの閲覧履歴が不足していても、受注・失注の取引情報や失注理由がそろっていれば、失注理由の集計はできます。営業への引き渡し後の結果が記録されていれば、MQLから商談化までの状況を確かめることもできます。

大切なのは、データが不足している部分を把握し、使える範囲で分析することです。

まずは、これから入るデータの記録方法をそろえる

過去のデータをすべて修正しようとすると、かなりの時間がかかります。特に、取引とコンタクトの関連付けや、過去の失注理由の洗い出しは、営業担当者への聞き取りが必要になることもあります。

そのため、最初から過去の記録をすべて整えようとするのではなく、まずは今後の運用ルールを決めることをおすすめします。

例えば、次のようなルールです。

項目 決めておくこと
取引とコンタクトの関連付け 取引を作成するときに、関係するコンタクトを関連付ける
受注・失注ステージ 受注・失注が確定したタイミングで取引ステージを更新する
クローズ日 受注・失注が確定した日を入力する
失注理由 失注ステージに移すときに、選択式の理由を入力する
ライフサイクルステージ MQLやSQLなど、各段階に移す条件と更新担当者を決める
リードステータス 営業が対応した後、結果に合わせて更新する
コンタクトの所有者 営業に引き渡す際に担当者を設定する

こうしたルールを決める際は、項目ごとに「誰が」「いつ」入力・更新するのかまで決めておくことが大切です。

例えば、失注理由を入力するルールを決めても、入力する担当者やタイミングが曖昧だと、結局空欄のまま残ってしまいます。

まずは直近の取引から記録方法をそろえ、3か月程度を目安にデータが蓄積された段階で、どこまで比較できるかを確かめます。ただし、必要な期間は商談の長さや取引件数によって異なります。

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まとめ

HubSpotのデータを分析に使う前には、受注・失注した相手の行動を比較できる状態かどうかを確かめます。

特に確かめたいのは、次の項目です。

  • 受注・失注した取引が正しく管理されているか

  • 取引と関係するコンタクトが関連付いているか

  • クローズ日や失注理由が記録されているか

  • ライフサイクルステージと各段階に入った日が残っているか

  • 営業に引き渡した後の対応状況が分かるか

  • Webサイトの閲覧履歴がコンタクトに関連付いているか

  • 獲得経路や重複の影響を区別できるか

また、受注・失注の件数だけでなく、比較する期間や行動を集計するタイミングもそろえる必要があります。

データが不足している場合は、無理に分析を進めるのではなく、まずは今後の記録方法を統一します。すべてのデータを一度に整える必要はありません。分析したい内容に合わせて、使えるデータから確かめていくことが大切です。

よくある質問

受注は何件あれば分析できますか?

一律の基準はありません。受注したコンタクトと失注したコンタクトの両方があり、比較したい行動について一定の件数が確保できているかを確かめます。

HubSpotのAIによるコンタクトスコア作成では、転換したコンタクト25件以上と、転換していないコンタクト25件以上が必要とされています。ただし、これは機能を利用するための条件であり、自社の受注・失注データを分析するのに十分な件数を保証するものではありません。

何か月分のデータがあれば分析できますか?

商材の検討期間や営業サイクルによって異なります。問い合わせから1か月程度で受注する商材と、半年以上かけて受注する商材では、必要な期間も変わります。

受注したコンタクトと失注したコンタクトで、同じ期間の行動を比較できるようにすることが大切です。

インポートしたコンタクトの過去の閲覧履歴は、あとから見えるようになりますか?

HubSpotのヘルプによると、インポートしたコンタクトがHubSpotのフォームを送信するか、追跡されたマーケティングEメールのリンクをクリックすると、Cookieに残っている閲覧履歴がコンタクトに関連付けられます。

ただし、Cookieが残っていない場合や、別のブラウザ・端末からアクセスしている場合などは、過去の閲覧履歴を関連付けられないことがあります。

「最終アクティビティ日」でWebサイトの訪問を確かめられますか?

確かめられません。

HubSpotのヘルプでは、最終アクティビティ日は、メモ、通話、営業のメール、会議などの営業活動が記録された日として説明されています。

Webサイトの訪問を確かめる場合は、最終セッションの日時など、Webサイトの閲覧に関するプロパティを確かめます。

取引とコンタクトの関連付けができていない場合、過去のデータは分析に使えませんか?

取引とコンタクトが関連付いていない場合、その取引に関係する人の行動を正しく取り出すことは難しくなります。

ただし、取引の受注・失注ステージや金額、クローズ日などが記録されていれば、取引単位での集計は可能です。コンタクトの行動履歴を使う分析と、取引情報だけで行う分析を分けて考えましょう。

過去のデータをすべて修正してから分析するべきですか?

必ずしもそうではありません。過去の記録をすべて修正するには時間がかかるため、まずは分析に必要な範囲を確かめ、使えるデータから分析を始める方法もあります。

一方で、今後のデータについては、取引とコンタクトの関連付けや失注理由の入力など、記録するルールをそろえておくことをおすすめします。

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株式会社Sells up 代表取締役 武田大
株式会社Sells up 代表取締役
武田 大
株式会社AOKIにて接客業、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。デジタルマーケティングエージェンシーを経て2023年に株式会社Sells upを設立。戦略設計・KPI設計を起点に、リードジェネレーション、ナーチャリング、MA/SFA活用、営業連携までBtoBマーケティングを一気通貫で支援。KGI逆算のKPI設計やリードスコアリングの統計的設計、営業連携SLAの構築を強みとし、業界・規模を問わず100社以上に提供。Account Engagement SpecialistおよびTableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。
保有資格Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist/Tableau Desktop Specialist
専門領域BtoBマーケティング/リードジェネレーション/リードナーチャリング/マーケティングオートメーション/HubSpot導入活用支援/Account Engagement導入活用支援/Marketo活用支援/インサイドセールス/統計解析によるスコアリング設計/商談化率向上/マーケティングROI改善